「車両」に付加全損状態で保険金
 
 自動車保険で、地震や津波による損害を補償する特約の取り扱いを、損害保険各社が1月から始めた。

 東日本大震災で被災した車の大半が補償対象外だった点に対応した。

 各社の特約の中身はほぼ同じ。地震や津波、噴火などの自然災害が対象で、自動車保険の新規契約時や更新時に、車両保険に付加して加入する。一部損保は、契約期間中の中途付加にも対応する。

 保険金は原則50万円で、それに対応する特約保険料は年5000円。車種や型式、地域などによる差はなく、全国一律。ただし、車両保険が50万円未満の場合はそれと同等の保険金額となり、その分保険料も下がる。

 保険金が支払われるのは、車が全損状態になった時だけ。それ以外は保険金を受け取れない。全損とは、地震による火災で車が全焼したり、津波で車が流失したり、運転席の座面を超える浸水を受けたりした状態などを指す。従来の車両保険では、地震や津波による損害は補償対象にならず、東日本大震災では津波で車を失った人たちから不満の声があがっていた。

 東京海上日動火災保険の広報担当者は「全損に限ることで保険の査定にかかる時間を短くし、迅速に保険金を支払えるようにした」と説明する。

 ファイナンシャルプランナーの三輪鉄郎さんは「地震や津波などの危険性が高い地域か、失うと生活に困るほど車が日常の足代わりになっているかなど、必要性を吟味してほしい」とアドバイスしている。

(2012年1月30日  読売新聞)